この冬、原子炉の停止に伴い温排水の供給が止まったため、音海にいた南方系の生物たちは軒並み衰弱している。その一例が、このマガキガイである。ご覧の2個体も、チャンバラをする元気はなく、岩の間に吹き寄せられたようだ。中には、カニか何かにちぎられた個体もいる。
筆者は音海において、過去9年間は毎冬潜水調査をしており、これまで南方系の魚を見ない年はなかった。それが、この2月下旬以降、様子が激変している。熱帯の毒ウニであるガンガゼは、落ち武者のごとく棘が抜け落ちて死滅し、トラフナマコも目立って衰弱している。ギンイソイワシの死骸が海底に横たわる。ソラスズメダイの姿は影もない。南の海から来て住み着いた生き物たちにはすまないが、音海の海も本来の若狭湾の生態系へと戻るのが良いことのように思われる。