いまそこにある「日本の危機」は尖閣諸島だけではない。台湾まで111キロ、尖閣から150キロ、石垣島から107キロ、まさに国境に位置する沖縄・与那国島も、政府の無策によって危機にひんしている。
戦後の一時期には、台湾との砂糖や米の貿易で約2万人の島民がいたが、
現在の島民数は1578人(2012年4月)。年間100人に近い島民が減り続けている。
地場産業も振るわず、島内に高校がないため、子供の高校進学と同時に一家で島を出るケースが多いのだ。
こうした状況下で、民主党政権が進める外国人地方参政権付与法案が成立したら、どうなるだろう。
与那国島に外国人が大挙して移住してくれば、地方行政は牛耳られかねない。
武力による領土侵略ではなく、合法的に内懐から“実行支配”を受ける危険性がある。
弱腰だった日本政府も昨年8月、やっと事の深刻さに気づき、遅まきながら陸上自衛隊「沿岸監視部隊」(200人規模)を
与那国島に配備する方針を決めた。島民がこれ以上減らないように、「国境特別法」などで支援の必要もある。
それだけでも安心はできない。中国国内では現在、「琉球(=沖縄)はもともと中国の島」という
意見が広まりつつあり、勝手に「琉球共和国憲法」「琉球国旗」まで作り、返還要求までしている。
とんでもない話だ。共産党独裁の国で、政府に無許可でこんな活動ができるのか。煽っているとしか思えない。
同じような現象は、竹島に近い対馬(長崎県)でも起きている。
対馬の島民数は3万4000人ほど。やはり人口は減少傾向だ。ここに年間8万人を超える韓国人が
押し寄せてきている。島の経済は、彼らの落とすウォンで成り立っているといえなくもない。
観光名所づくりの一環として、朝鮮ゆかりのモニュメントが次々と建立され、
昭和天皇の行幸記念碑の立つ土地まで韓国企業の手に渡った。日本人は立ち入り禁止だ。
近隣諸国の領土・国益に対する欲求は、露骨なまでに貪欲だ。いちいち挙げればキリがない。
すでに半世紀以上にわたって、日本の国境は北方領土も含めて危機状況が続いてきた。
それが2009年9月の民主党政権の誕生で拍車がかかった。
ただ、尖閣沖・中国漁船衝突事件(10年9月)を機に、日本人は領土・主権意識に目覚めた。
東京都の石原慎太郎知事の「都で尖閣を購入する」という呼びかけに、多くの人々が賛同した。
これからが始まりである。もうこれ以上、つけ込まれる隙を与えてはならない。=おわり
■山本皓一(やまもと・こういち) 1943年、香川県生まれ。日大芸術学部を卒業後、渡米。
出版社を経て、フリーランスのフォト・ジャーナリストに。世界各国のルポルタージュや、
湾岸戦争、ソ連崩壊、北朝鮮などをカバー。近年は尖閣諸島や北方領土、竹島など、
日本の国境の島々も取材する。著書に「田中角栄全記録」(集英社)、
「日本人が行けない『日本領土』」(小学館)、「誰も見たことのない日本の領土 DVD」(宝島社)など多数。
(おわり)